俺のココ、あいてるけど。
 
・・・・ナ、ナンパ!? あたしが?

その響きに驚いて言葉に詰まったあたしに登坂さんは軽く微笑む。


登坂さんの視線が眩しくて、あたしを“女性”として見てくれていることが嬉しくて。

歯がゆいような、もどかしいような・・・・甘酸っぱい気持ちが胸いっぱいに込み上げた。


「そんな・・・・。自慢じゃないですけど、一度もナンパされたことがないんですよ? あたし。今さらいませんよ、そんな人・・・・」


でもあたしは、照れ隠しでそう言ってしまう。

“嬉しい”と全身が叫んでいるのに、それをひた隠しにする。


「前はそうでも今は違うかもしれない。1人にしておけないから。それに、この歳でボールで遊ぶのは恥ずかしいしな」

「・・・・はい、そうですか」

「見てるほうが性に合うんだ。だから俺のことは気にするな」

「はい・・・・」


登坂さんは優しいな。

こんなあたしのこともちゃんと考えてくれて、気遣ってくれて・・・・ますます好きになっちゃう。

登坂さんに好きになってもらえる人は、きっとすごく幸せなんだろうな。
 

< 245 / 483 >

この作品をシェア

pagetop