俺のココ、あいてるけど。
 
「向こうに行って話そうか」


そんな重苦しい空気を破ったのは登坂さんだった。

そう言って立ち上がり、真っ赤な顔の綾ちゃんを連れてモッサ君とあたしから離れていった。


「俺、なんかまずいことでも言ったのかな? あの子、すげー怒ってたけど・・・・」


2人の後ろ姿を見送りながら、モッサ君がため息をもらす。


「ううん。そんなことないよ。綾ちゃんは登坂さんが大好きなの。だから、あたしが近くにいるのが嫌だったんじゃないかな」

「それは見てれば分かるよ。だけど、なんか違うんじゃないか?」

「何が?」

「ガキっつーか、わがままっつーか、自分の気持ちを押しつけてるようにしか見えないよ」


もう一度ため息をつくと、モッサ君は登坂さんが座っていた場所に腰を下ろした。

確かに・・・・確かに、モッサ君がそう感じる気持ちも分かる。

あたしだって、登坂さんだってそう思っているかもしれない。

でもね・・・・。


「でもね、モッサ君」

「ん?」

「あたし、綾ちゃんが羨ましい。いいなぁ、って思うんだ」
 

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