俺のココ、あいてるけど。
 
モッサ君になら少し本当の気持ちを話してもいいかもしれない・・・・そう思ったあたしは、思い切って口を開いた。

彼が感じる気持ちのほかに、あたしには綾ちゃんを羨ましいと思う気持ちがあった。


好きな人を“好き”と全身で表現している姿に、1人で焦ったりやきもちを妬いたり。

それでもあたしは綾ちゃんのようにはできなくて、登坂さんを想うだけの日々・・・・。

それさえも、ふとした瞬間に今みたいに隠さなきゃならなくなる。

あたしの心の中は、たったの1歩が踏み出せなくて、強さが足りなくてぐちゃぐちゃだった。


そんな気持ちを吐き出せるのは、今のあたしにはモッサ君しか思い当たらなかったんだ。





「羨ましい? どうして?」


モッサ君が不思議そうに聞く。


「だって、登坂さんを真っすぐに想ってるじゃない。行動に移せるのはやっぱりすごいよ。あたしにはできないから・・・・」

「本人や長澤を困らせてもか?」

「それは・・・・。でも、あたしはいいの。綾ちゃんのおかげで海に来れたんだし」

「ふ〜ん・・・・」
 

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