俺のココ、あいてるけど。
 
そう言って少し顔を覗き込むと、梅村綾は唇を噛みしめて必死に涙をこらえていた。

それから口を開き、一言。


「・・・・そんなの分かってますよ」


と、消え入りそうな声で言った。

強がってはいるが、俺からすればまだまだ19歳の子ども。

間違ったことは言っていないはずなのに、俺が悪者になったような・・・・そんな心境になった。


「だったらいい。楽しみにしていた海だったから、少しはしゃぎすぎただけなんだよな? 2人とも許してくれる」

「・・・・どうでもいいですよ、そんなこと。綾にだって分かります。どれだけみんなが大人で、どれだけ綾が子どもかくらい」

「・・・・」


でも、台詞から気持ちを感じ取ったのか、梅村綾はそう言った。

俺を真っすぐにとらえる両目からは、静かに涙がこぼれ落ちた。


「ねぇ登坂さん・・・・なんで綾じゃダメなんですか? 綾には何が足りないんですか?」

「・・・・」

「こんなに好きなのに、登坂さんはいつも違う人を見てます・・・・。モッサ君も未来さんばっかり」

「・・・・」
 

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