俺のココ、あいてるけど。
海のなごり
◇未来side.*:・゚
「そっちばっかり見てないで気になるなら行けばいいだろ?」
「でも、聞いちゃまずい話かもしれないし・・・・」
「じゃあ、勝手にどうぞ」
「・・・・」
登坂さんと綾ちゃんが話をしに行ってから、かれこれ1時間近くが過ぎようとしていた。
あたしは時計と2人が向かった方向をせわしなく見比べていて。
そんなあたしに、モッサ君は少し苛立った口調でため息をつく。
どうしてこう、いつもいつもあたしはあと少しのところで勇気が出ないんだろう・・・・。
気になって仕方がないのに、その気持ちを狭い箱に閉じ込めて鍵までしてしまう。
溢れるのは目に見えているのに。
と、そこに───・・。
「悪い。待たせたな」
登坂さんが戻ってきた。
綾ちゃんの姿は・・・・ない。
「もう少ししたら戻るそうだ。長澤も加藤もさっきのことは気にするな。困らせたくてやったことじゃないんだ」
そう言って、表情が曇るあたしたちを登坂さんは見下ろした。