俺のココ、あいてるけど。
「大丈夫なんですか? あの子。・・・・その、いろいろと」
立ち上がると、あたしの代わりにモッサ君が尋ねてくれた。
あたしはまだ登坂さんを見上げたまま。・・・・綾ちゃんのことが心配で心配でたまらなくなった。
「そうだな・・・・俺からは何も言えない。でも、きっと大丈夫だ。俺はそう思っている」
「・・・・そうですか」
あたしと同じようにモッサ君も綾ちゃんが心配なんだ。
綾ちゃんの“好き”を知っているから、何を話してきたか大方察しがついているんだと思う。
登坂さんの言葉からそれを敏感に感じ取ったみたいで、何とも言えない複雑な表情だった。
「先に昼飯でも食ってようか。待っていられるより梅村もそのほうがいいと思う。匂いに誘われてそのうち来るよ」
重苦しい空気を変えるように、登坂さんがお弁当の入ったバスケットに目を向ける。
モッサ君とあたしは何も言わず、ただ頷いて指示に従った。
綾ちゃんがいない3人での食事は炭酸が抜けたラムネみたい。
味気なくて、ご飯が喉につっかえてうまく飲み込めなかった。