俺のココ、あいてるけど。
 
しばらくすると───・・。


「未来さ〜ん!みんな〜!運ぶの手伝ってくださいぃ〜・・・・」


と、綾ちゃんの声。

お弁当を食べる手を休めて声のするほうを見ると、ビーチパラソルを運んでいる姿が。

どこから運んできたかは分からないけど、傘の先端を砂に擦って息を切らしながら歩いていた。


「綾ちゃん、こんなに大きいのを1人で運ぶなんて無理だよ・・・・。一体どこから歩いてきたの?」


すぐに駆け寄って、先端を持ち上げながら聞いたあたし。

何キロあるんだろう・・・・女の子の力じゃかなり重いのに。

すると綾ちゃんは得意気に言う。


「ほら、あそこに海の家があるじゃないですか。最後の1本だったんですよ!超ラッキー♪」

「あそこって・・・・えっ!? すごく遠いじゃない。呼んでくれればよかったのに」


綾ちゃんが指差した先には、本当にぽつんと小さく海の家。

あたしが目を丸くするのも無理はなく、ずいぶん遠くから運んできたみたいだった。


「いいんですよ!気にしないでください!へっちゃらですから♪」
 

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