俺のココ、あいてるけど。
 
綾ちゃんはそう言うけど・・・・。

無理してない?
目、赤いよ?

へっちゃらなわけないじゃない。

何もないわけ・・・・ないじゃない。


「・・・・綾ちゃん」


あたしは思わず、その小さな背中に声をかけた。

何か言えるわけでもないのに、声をかけずにはいられなかった。


「はい?」

「あ、えーっと、その・・・・」


ほら。

言葉に詰まるしか能がないのに、綾ちゃんの気持ちは痛いくらいに分かっているのに・・・・。


「未来さん、さっきはごめんなさい。それから・・・・今までも」


そんなあたしを横目で見てはにかんだ綾ちゃんは、前を向くと静かに言った。

2人とも、ビーチパラソルを持つ手にギュッと力が入る。


「えっ?」

「綾、きっぱりさっぱり振られちゃいました。綾には登坂さんは遠い遠い人でした」

「・・・・」


やっぱり・・・・。


「だからもう、誰の邪魔もしません。でも、帰りはどうしましょうか。さすがにちょっと乗せられませんよね」

「そう・・・・だね」
 

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