俺のココ、あいてるけど。
 
「そう言うお前も・・・・だろ?」


俺は、8ミリのマイルドセブンのパッケージをモッサに突き出し、1本取るように促した。


「あ、はい・・・・いただきます」


モッサは驚いた表情で1本取り、口にくわえた。

それから、急いで吸いかけの煙草を消して火をつけた。


「でも、正直なところ、長澤に何をしてやればいいのか分からないんです。ただ好きなだけじゃダメなような気がして・・・・」


ふぅーっと深く煙をはくと、モッサは少し先の砂粒を見つめて切なそうに言った。

太陽の光にキラキラと反射する砂粒は、まるで宝石のようだった。


「俺だって分からないよ、トラウマを克服させる力があるかどうかなんて。最後は長澤自身の問題なんだから」

「・・・・」


俺もモッサと同じように砂粒を見つめながら、ぽつり。

本当にそう。

俺だって分からないんだ、どうしたら長澤の傷を癒してやれるか。

その権利が俺にもあるのかさえ。


「でも、気持ちは変わらないし、いつかは答えが出る日が来ると思う・・・・どんな形でもな」
 

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