俺のココ、あいてるけど。
○。September。○
あのときの夢
◇未来side.*:・゚
海に行った日が何ヵ月も前のように懐かしく感じる今日この頃。
日焼けのあとも目立たなくなり、あたしの生活はいつも通り、仕事と部屋の往復になった。
季節は秋・もう9月。
綾ちゃんの夏休みも、交代で取る短いお盆休みも終わった。
空はだんだんと高く澄んで、今度はトンボが飛ぶようになった。
まだまだ残暑は厳しいけれど、あたしの周りでは季節の変わり目がゆっくりと訪れている。
最近、あたしはよく夢を見るようになった。
あのときの夢・・・・。
本当にリアルで、不思議で、登坂さんを好きになってからも忘れられなかった、あの夢。
“麻紀”さん。
その人の名前が出てくる夢を繰り返し繰り返し見るようになった。
「そういえば、麻紀の手はこんなに荒れていなかったな」
「それにしても、ずいぶん小さな手だな。まるでガキだ」
「でも───・・」
過労で倒れた日、点滴を待ちながら眠ったときに登坂さんが夢の中で言ったこと。
そのときの夢を・・・・。