俺のココ、あいてるけど。
「実は昨日、あれから登坂さんの知り合いだっていう人と偶然会ったんです。それで、このメモを預かりました」
歩美さんからのメモに目を通している登坂さんに経緯を説明する。
「なんでも、親友のことで相談があるらしくて。連絡がほしいということです」
左から右にゆっくりと字を追う登坂さんの目。
メモを受け取る前とは少し違う、固くなったその表情。
どうしたんだろう?
渡してしまってから、渡さないほうがよかったんじゃないかと不安になってくる。
「あ、あの・・・・」
「いや、なんでもない。しかし、どこで会ったんだ? あれからって言っても11時過ぎてたぞ?」
あたしの呼びかけに対して、登坂さんはパッとメモから目を離し、そう聞く。
時間にしてわずか数秒。
それくらい短い間でも、確かに登坂さんの表情はいつもと違った。
「・・・・恥ずかしい話ですけど、ご飯を作るのが面倒になっちゃってコンビニに行くところだったんです。そのときに・・・・」
「そうか。本当に偶然だな」
「・・・・そうですね」