俺のココ、あいてるけど。
そんなことを考えていると、7回目のコールで歩美が電話に出た。
久しぶりに聞くその声、その呼び方に一気に懐かしくなる。
「あぁ、俺。久しぶり・・・・だな」
『うん、そうだね・・・・』
それからしばしの沈黙。
俺も歩美も、どう話を切り出したらいいか悩んでしまった。
何せ半年ぶりに会話をするんだ。
麻紀がいてこその俺たちの関係だったから、その麻紀がいない今は何を話したらいいか分からない。
『あの、昨日はごめん。急に押しかけるような真似して・・・・。どうしても誠治君と話がしたくてあんなことしちゃったんだ』
「いいよ、別に」
『ありがとう・・・・。長澤さんにもお礼、お願いね』
「分かってる」
歩美の声には元気がなかった。
明るいのが取り柄の歩美がこんなにも辛そうな声を出すのは、麻紀と別れたときに聞いて以来。
あのときは散々責められたっけ。
「それで? 麻紀に何かあったから俺と話がしたかったんだろ? 言ってみて」
俺は、一呼吸置いてから意を決して本題に移った。