俺のココ、あいてるけど。
『あのね、最近彼氏とうまくいってないみたいないんだ・・・・』
歩美はまず一言、そう言ってから苦しい胸の内を話し始めた。
『誠治君の前で言うのはあれだけど、すごく仲もよくてお似合いだったの。でも・・・・』
「でも?」
『うん・・・・浮気癖がある人らしくてね、この半年で5回も泣かされたの。そのたびに私のところに来ててさ・・・・』
「浮気・・・・ね」
俺は手持ちぶさたでいじっていたボールペンを指で弾いた。
ボールペンはコロコロと転がり、パソコンの側面で止まった。
『ごめんね。こんな話・・・・。麻紀の自業自得だって思ったよね』
歩美は声のトーンを一段と落としてそう言う。
「そんなふうには思わないよ」
そう。そうは思っていない。
実際のところ、麻紀は俺が寂しい思いをさせたせいでほかの人に心を移してしまった。
簡単に言ってしまえば“浮気”だけど・・・・でもそれは俺に悪い部分があったからで、麻紀だけのせいじゃない。
“自業自得だ”なんて、そんなふうに思えるはずがない。