俺のココ、あいてるけど。
「・・・・」
俺は、またしても言葉が出てこなかった。
麻紀にどんな言葉をかけてやればいいのか、何を言ってやればいいのか、言葉が見つからなかった。
「いいよ、そんなに困った顔しなくて。歩美から聞いてるから。ちょっと言ってみただけ」
すると、麻紀はほんの少し笑ってそう言う。
「あ、ごめん・・・・」
「ううん、今好きな人がいるんでしょう? 今さら誠治に泣きつこうなんて思ってないよ」
「・・・・うん。そっか」
なんだか気まずくなり、無意識にコーヒーを手に取る俺。
麻紀は、そんな俺を見て今日初めての楽しそうな笑顔を浮かべた。
全然関係のない話だけど、女の人の情報網はすごいと思った。
今職場で直面している梅村の噂話しかり、つい先日、歩美にした話のことしかり。
男とは訳が違う。
その情報の早さに思わず苦笑いをしてしまったくらいだ。
「まぁ・・・・俺の話はいいからさ、麻紀の話、続けなよ」
コーヒーを一口飲むと、ずれかけた話を戻すように言う。
俺の話は今はいい。