俺のココ、あいてるけど。
 
「どうしよう・・・・。誰かに頼んだほうがいいのかな」


お菓子の山と腕時計の時刻を見比べながらあたしは途方に暮れた。


「そうだ、登坂さんに───・・」


“聞いてみよう”

はっと思い立ってそう言いかけたけど、あとの言葉を飲み込んだ。

朝の登坂さんの冷たい態度・・・・それを思い出すと、とてもじゃないけど聞きに行けなかった。


───「そんなの適当に誰かに頼めばいいだろう。バイトではそうしてこなかったのか?」

そんなことを言われそうで、もし言われたら泣いちゃうんじゃないかと思った。


小百合には「未来は細かいことを気にしすぎなんだって。そういうのって、その本人は全然気にしてないことが多いんだから」なんて口を酸っぱくして言われ続けてきたけど・・・・。

だけど、今日が初日だし、朝はあんな感じだったし、気にしないなんてできなかった。


「いいや。あたしがやっちゃえばそれで済むことだし」


定時に帰ってもすることもないしね、と高を括って、お菓子の山と格闘することにした。

でも、お菓子も侮れない。
 

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