俺のココ、あいてるけど。
 
思ってもいなかった衝撃に少しよろめきながら麻紀を見る。

麻紀は俺をぶった右手をかばうようにして、左手を添えていた。


「ごめん・・・・。でも!」


そう、麻紀は続ける。


「私が弱いばっかりに、さっきはあんなことをしてしまった。誠治に会って、気持ちの整理もつけたかった。誠治は悪くない、悪いのは全部私よ・・・・」


喉の奥から絞りだすような声。

よく見ると、顔も真っ青だった。


「こんな私が言える立場じゃないことは、十分すぎるくらい分かってる。でも、誠治が好きになった人なんでしょ? また好きになれた人なんでしょ?」

「・・・・」

「あの子が泣いたのは、きっと誠治が好きだからよ。もう2人は両想いなの!だから・・・・!」


あとの言葉はなかった。

けれど・・・・。

“だから早く追いかけて”──そう言われているような気がした。


「麻紀・・・・ごめん」


そう言うと、俺は走りだした。

まだ間に合うのなら、長澤が俺の話を聞いてくれるのなら・・・・。

もう泣かせたりしない。
 

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