俺のココ、あいてるけど。
 
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──・・・

───・・・・



そうして、自分の気持ちをモッサ君に向かせようとしている間に、9月はすぐに過ぎていった。

相変わらず仕事は忙しく、それに加えて綾ちゃんのフォロー。

あの噂話はまだ健在で、少しでも怪しい目線や言葉を感じると、あたしは不思議がる綾ちゃんを無理やり避難させた。


そんなことでは根本的な解決にならないことくらい分かっている。

でも、もう登坂さんは頼れない。

あたしが頑張るしかないんだ。





そんなある日───・・。


「ねぇ、未来さん、ちょっといいですか?」


1人で化粧品を並べていると、綾ちゃんが話しかけてきた。


「なに?」

「もういいですよ。綾、変な噂でも流されてるんでしょ?」

「・・・・え」


思わず化粧品を並べる手が狂う。

きれいに並べたはずのそれらは、まるでドミノ倒しみたいに周りの物も巻き込んで倒れてしまった。


「いろいろね、綾だって知ってますよ。そう噂されてもしかたないこと、綾、してましたから」
 

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