俺のココ、あいてるけど。
 
動揺するあたしに軽く笑うと、綾ちゃんは代わって倒れた化粧品を並べはじめた。

そして、手を動かしながら言う。


「未来さんが守ろうとしてくれてるの、実は最初から気づいてました。店長や・・・・登坂さんも」


え? 最初から?

そんな・・・・。

知っていたなんて・・・・やっぱりあたしじゃ1人も守れないのかな。

綾ちゃんの言葉に、無力な自分が悔しくて目頭が熱くなってくる。


「皆さん、綾なんかのためにこんなに良くしてくれて・・・・。ありがとうございます」


そう言うと、綾ちゃんはあたしのほうを見て小さく頭を下げた。

綾ちゃんの目も少し潤んでいる。


「でもね、もういいんですよ、本当に。気持ちだけで十分です」

「それはどういう・・・・」


綾ちゃんの態度があんまり湿っぽいから、どうしても“もしも”のことを考えてしまう。

まさかバイト辞める気じゃ・・・・。


「え? だって綾、直接言っちゃいましたもん。“噂話に花咲かす前に仕事してください”って。だから、未来さんたちはもう心配しないで♪」
 

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