俺のココ、あいてるけど。
ブンブンと大きく手を振りながら帰っていく綾ちゃんに、あたしも手を振り返した。
今日は綾ちゃんのおかげで久しぶりに心から笑えた。
綾ちゃんって太陽みたいな子。
いつかあたしもそんな人になれたらいいな・・・・。
そんなことを思いながら、あたしも軽くなった気持ちで台車を押してバックヤードに戻る。
すると・・・・。
「未来さん!1つ言い忘れてたことがありましたっ!」
綾ちゃんが駆け足で戻ってきた。
「なに?」
「あのね、─────!ねっ!」
あたしの前で止まると、綾ちゃんはゴニョゴニョと耳打ちした。
そして「じゃあ!」と言って、すぐにバックヤードに消えた。
綾ちゃんが残していった言葉、それは───・・。
『自分に嘘ついちゃダメですよ』
「綾ちゃん・・・・」
そうつぶやいたきり、あとに続く言葉が出てこなかった。
ごめん、綾ちゃん。
あたし、もう決めたんだ。
嘘なんか・・・・ついてないよ。