俺のココ、あいてるけど。
そう言うと、モッサ君は照れくさそうに笑って再び運転に意識を集中させはじめた。
どうやら帰宅ラッシュを抜けたらしく、車はすいすいと走る。
おだてているわけでもお世辞でもなく、本当にかっこいいと思ったんだ、あたし。
そして、モッサ君とならきっとうまくいく───このときのあたしは本当にそう思った。
あたしが選んだ場所はココ、モッサ君の腕の中。
この前、綾ちゃんに『自分に嘘ついちゃダメですよ』なんて言われたけど・・・・。
強がりでもなんでもなく、あたしはモッサ君に恋しはじめている。
だからもう、本当に登坂さんのことはいいんだ。
登坂さんにはきっと、あのときの彼女がついているんだから。
「さっきのレストランほどじゃないけど、ここで食べない? 俺、腹減っちゃって」
しばらく郊外を走っていた車は、モッサ君のその台詞で止まった。
「あ、うん」
「・・・・ダメだった?」
「ううん、なんだかぼーっとしちゃったみたい。あたしもお腹すいた〜、何食べよっか?」