俺のココ、あいてるけど。
 
あたしの気のない返事を却下の意味にとらえてしまったモッサ君。

不安そうに顔を覗き込まれたけどあたしは本当にぼーっとしていただけだった。

緊張したり考え事をしていたせいで、ちょっと頭が疲れただけ。


「長澤が食べたいものを頼めばいいよ。ここは俺のおごりだから」

「本当?」

「うん。酒も飲めるし、たまにはパーっと盛り上がったら?」


そっかぁ、お酒かぁ。

そういえば、最後に飲んだのはあのとき・・・・モッサ君に無理やり来てもらったときだったっけ。

仕事でミスして、登坂さんが山下さんたちを誘ったときの飲み会。


「じゃあ、ちょっとだけ」


あんまり飲めないけど、久しぶりだし・・・・いいよね。

モッサ君と一緒だったら、なんだか大丈夫そうな気もしてくるし。


「おぅ!じゃあ行くか」

「うん」


そうして、あたしたちはお店に入っていった。

さっきの返事を言葉のままに理解してくれたモッサ君は、もう不安そうな顔はしていなかった。

時刻は夜7時半。

さすがにお腹が減る時間だった。
 

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