俺のココ、あいてるけど。
 
「なんであれが・・・・」


“麻紀だって分かったんだ?”

突然言われて頭の中がごちゃごちゃで、うまく言葉が出てこない。

話の順序は変わってしまったが、今からあのときのことを話すつもりでいたのに・・・・。


「夢です」

「夢?」

「ずっと前に見た夢を、先月あたりからまた見るようになって」


・・・・どういうことだ?

さっぱり意味が分からない。


「もう少し詳しく───・・」

『え〜、業務連絡、業務連絡。登坂さん、至急事務所まで』


けれど、その問いはたちまち放送にかき消されてしまった。

店長が俺を呼んでいる。


こんなときに呼ぶなんて・・・・なんてタイミングの悪い店長なんだ。

心の中で悪態をつく。


「行ってください。あたしも仕事に戻らないといけませんので」

「でも・・・・」

「それも含めてちゃんと言いますから。店長にもご心配をかけているみたいですし、早く戻って伝えてください」

「・・・・何をだ?」

「“あたしは何があっても辞めませんから”って」
 

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