俺のココ、あいてるけど。
 
◆誠治side.*:・゚



長澤の涙を見た日から数日。

俺は、その訳を聞こうかどうかずっと迷っていた。


彼女の最初の印象は、気は弱そうだが、それはけして人間として弱いわけではなさそう・・・・というものだった。

プライベートを仕事に持ち込むようなタイプでもなさそうだし、社会人として自立しようという前向きな気持ちが感じられた。

だからといってはあれだが、一度は“俺が聞くことではない”と思ったんだ。


だけど、どうしてかそのあとの仕事がはかどらなくて、何度も休憩室に行ってはコーヒーを買った。

困ったことに、仕事では極力煙草は吸わないと決めていたのに吸ってしまう。

外に出る回数も増えた。





「俺のせいか・・・・?」


夜も深い時間になり、やっと仕事も終わって帰る頃、ふと“もしかしたら・・・・”と思った。

今日、主に関わったのは俺。

俺といたときは、彼女はどこかビクビクしていたように思う。


「・・・・俺のせいだ」


言い訳はしない。

正直、面倒だったんだ。
 

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