俺のココ、あいてるけど。
俺のココ、あいてるけど
◆誠治side.*:・゚
そうして俺は、急いで車を飛ばしアパートへと帰った。
アクセルを踏み込むたび、長澤への気持ちは加速度を増していく。
長澤を想うたび、アクセルを踏み込む足に力がこもる。
運転中、いろいろな人の顔が次々と頭に浮かんできた。
店長、梅村、モッサ、麻紀、歩美・・・・そして、最後は長澤。
叱られたり怒られたり、迷惑をかけたり心配してもらったり。
それから・・・・泣かせたり。
挙げればきりがないほど、そのときのみんなの表情が頭によみがえってきた。
けれど最終的には、それらの表情はたちまち笑顔に変わる。
そこでもやっぱり、最後に浮かんできたのは長澤の笑顔だった。
車のヘッドライトが、いつものアパートの前を明るく照らす。
慣れた手つきでハンドルを回し、駐車場に車を滑り込ませる。
すると、徐々に照らされていくライトの先に何かうごめくものが映り込んできた。
目を凝らす間もなくブレーキをかけると、それを合図にしたかのようにぱっと立ち上がる。