俺のココ、あいてるけど。
 
「・・・・」

「・・・・」


緊張でうまく言葉が出てこない。

話したいことは山ほどあるのに、なかなか出てこない。

長澤が隣にいるのが嘘のようで、でも本当で、体の左半分が徐々に熱を持っていく。


こんな事務的な会話がしたいんじゃないのに・・・・。

ヘタレだ、俺って。


「あの、あたしの話・・・・聞いてもらってもいいですか?」


そうして、落ち込みながらも話す内容を一から考え直していると、唐突に長澤が口を開いた。

両手をきつく握って、真剣な目で俺を見上げている。


「あ、あぁ・・・・」


と、その勢いに押されて返事をすれば、長澤はすっと前を向いてぽつぽつと言葉を綴りはじめた。

一生懸命に言葉を選びながら話す姿をじっと見つめる。


黒くて真っ直ぐな髪、優しさの象徴のように思えるたれ目。

小ぶりなかわいらしい鼻、思わず触れたくなる柔らかそうな頬、華奢できれいな手。

そして・・・・言葉を発するたびに動く、少し薄めの唇。

一番大切な人の姿を、目に焼きつけたい、心に刻みたい。
 

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