俺のココ、あいてるけど。
・・・・死ぬわけでもないのに、そんな思いがどんどん膨れ上がる。
長澤が真剣に話す傍らで、俺は不覚にも少し泣きそうだった。
長澤の話は、俺と出会う前の大学生の頃の失恋話から始まった。
1つ下の彼氏に振られたときのことを笑って話す。
「3月の中頃に急にファミレスに呼び出されて、見事に振られちゃいました。あたしの気持ちは“重い”って、たった一言。いつものことですけど」
───『だって俺、まだ21だぜ? 長い付き合いとか将来とか、正直言ってなんも考えてねぇから』
そう言われて振られたそうだ。
5月の歓迎会のとき、具合が悪くなった長澤を背負って帰ったときのことが思い出される。
確か長澤は、寝言で『重い女なんて嫌』『本気にさせないでよ』って言っていたっけ。
「それで、最後におごってもらったコーヒーを意地で飲んでいたんです。そしたら、窓の外にその彼の姿を見つけて、女の子と腕を組んで歩いてて」
「二股・・・・?」
「はい。今思えば彼のどこが好きだったのか・・・・。でも、十分トラウマになった恋だったんです」