俺のココ、あいてるけど。
「長澤、あれは・・・・」
“俺が悪いんだ”───そう続けようとしたところで、ブンブン。
長澤は首を横に振る。
「いいんです。勝手に恋して、勝手に泣いて、避けたりして・・・・。傷つけたのはあたしです」
「・・・・」
そんな言い方するなよ。
俺のほうがどれだけ長澤を苦しめたか、みんなを傷つけたか・・・・。
胸が張り裂けそうに痛い。
「夢の話、してもいいですか?」
すると、長澤はそう聞く。
“夢”・・・・数日前、告白したときにちらっと聞いた話だ。
俺は黙って頷き、言葉を待った。
「過労で倒れて眠っていたとき、不思議な夢を見たんです。なんであんな夢を見たのか、今でもよく分からないんですけど・・・・」
そうして語られる夢の話は、にわかには信じられないものだった。
長澤は麻紀のことを・・・・夢の中で麻紀の“名前”を知ったという。
夢に俺が出てきて、長澤の手と麻紀の手を比べていたらしい。
「変な話ですよね。だから、麻紀さんは全然知らない人の気がしないんです」