俺のココ、あいてるけど。
 
なんと言ったらいいのか・・・・。

驚いたし、そんなバカなとも思ったし、夢に出られて嬉しくもあったし・・・・長澤が言った通り、不思議な気持ちだ。

少し笑ってこっちを見た長澤に、俺は「ああ、そう・・・・」と曖昧な返事しかできなかった。


「それからは全然見なくなって。でも、9月に入ってからはまた見るようになりました。何かが起こりそうな予感・・・・っていうんでしょうか。それであたし、一人で不安になって・・・・」


ちょうどその頃だ。

歩美が俺を訪ねて来て、偶然長澤と知り合うことになって。

そして俺は・・・・。


「本当にすみませんでした。理由も考えずに一方的に避けて、あたしだけ傷ついたような顔して」

「違う、俺が・・・・」

「・・・・」

「俺が悪いんだ。ちゃんと麻紀のことを話して、心配するなって初めから言っていれば・・・・」

「・・・・」

「・・・・」


避けては通れない麻紀の話。

2人とも言葉を失って、車内に暗い沈黙が訪れる。

俺はこの先、長澤に負わせた傷を埋めてやれるだろうか。
 

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