俺のココ、あいてるけど。
 
「嫌だよな・・・・こんな俺なんて。ごめんな、長澤」


あたしの返事がないためか、登坂さんは切ない笑顔を作った。

違うよ、登坂さん。

あたし、感動しちゃって。


「違います、違います!あたし、1年とか2年とか、長くつき合ったことがなくて。同棲も結婚も憧れの範囲で・・・・」

「・・・・違うのか?」

「はい。きっと登坂さんは麻紀さんが本当に大切だったんだろうなって、そう思って」

「・・・・」

「こんな言い方は変ですけど、安心したっていうか嬉しいっていうか・・・・。だから、ショックじゃないし、嫌だとも思いません」


登坂さんが前に誰を好きだったかとか、どんな恋愛をしてきたかとか、あたしには分からないこと。

昔にやきもちを妬いたってどうにもならないことで、話してくれるだけですごく嬉しい。

だからあたしは“結婚を真剣に考えていた”って聞いて感動した。

うまく言えないけど・・・・登坂さんがそういう人でよかった、って本気で思う。


「ありがとう」


それを言うと、登坂さんは優しく微笑んでくれた。
 

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