俺のココ、あいてるけど。
 
「綾ちゃん、おはよう」

「あ、未来さん。・・・・おはようございます」


綾ちゃんがバイトに来る時間に合わせて更衣室で待っていたあたしは、入ってくるなり駆け寄った。

綾ちゃんは一瞬ギクリとして、気まずそうにあいさつを。

あたしがいるなんて思ってもいなかったようで、表情が強ばった。


「あのね、モッサ君から預かり物があって。はい、これ」

「・・・・何ですか?」

「“恋愛成就”のお守り。昨日会ったときに、綾ちゃんの分もって預かったの。綾ちゃんもいろいろあるだろうし、って」

「モッサ君が・・・・」


袋からお守りを取り出して、それをじっと見つめる綾ちゃん。


「そうなの。登坂さんとあたしのも買ってくれたみたいでね、みんなでお揃いなんだ」

「そうなんですか」

「うん」


それからしばしの沈黙。

綾ちゃんと仲直りがしたい一心で待っていたけど、お守りを渡してしまえば会話は途切れる。


でも、ここで引いちゃいけない。

綾ちゃんは大事な妹だもん、このままの気まずい関係じゃ嫌だよ。
 

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