俺のココ、あいてるけど。
「それとね、綾ちゃん。もう1つ話があるの。着替えながらでいいから、ちょっと聞いてね」
「はい・・・・」
あたしは、意を決してそう話を切り出した。
綾ちゃんがあたしを避けはじめた理由は、きっとこれだと思う。
「あたし、自分に嘘をついてた。綾ちゃんの言った通りだったよ。ごめん、本当に」
カチャン。
綾ちゃんが着ていたコートをハンガーにかけた。
それ以外の音はしない。
「好きなのに意地を張って素直になれなくて、ずっと自分を騙し続けて。綾ちゃんはあたしのことなんかもう嫌いになっちゃったかもしれないけど・・・・」
「・・・・」
「綾ちゃんが距離を置いてくれたおかげで、あたしはちゃんと考えることができた。ありがとう」
衣擦れの音が小さくする。
ゆっくりと制服に袖を通していく綾ちゃんは、ロッカーを見たまま何も言わない。
でも今は、不思議と避けられている気がしなかった。
簡単に着れてしまう制服を時間をかけて着てくれる・・・・その行動から、あたしの話に合わせてくれているのが伝わってくる。