俺のココ、あいてるけど。
 
一人っ子あたしにとって、綾ちゃんは本当に初めてできた妹のような存在だから。

その妹が、出来の悪い姉のために考えて、行動して、不器用な恋の行方を見守ってくれた。

それで十分。


「だって綾ちゃんは妹でしょ?」

「未来さん・・・・」

「綾ちゃんがいてくれたから、今のあたしがあるの。こんなあたしのために今までいっぱいありがとう。これからもよろしくね」

「はい・・・・っ!」


それからあたしたちは、仕事も忘れて涙を流して抱きあった。

そうしていると、綾ちゃんとあたしの間にできた溝が埋まっていくのをひしひしと感じたんだ。

それはまるで、雨が降ったあとの平らな地面のようで、とても心地いいものだった。





しばらくして体を離すと、どちらからともなく笑いがこぼれた。


「未来さん、泣きすぎぃ!」

「綾ちゃんこそ!」


綾ちゃんの顔は、メイクが総崩れって感じでボロボロ。

でもきっと・・・・ううん、間違いなくあたしの顔もそんなもの。

急いでメイクを直し、2人一緒に店内に駆け出した。
 

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