俺のココ、あいてるけど。
 
『ま、モッサ君は損な役回りだったけどさ、彼のおかげだしね』

「うん。あたしが言える立場じゃないけど、モッサ君も自分のハッピーエンドを見つけてほしいよ」

『そうだね』

「うん」


モッサ君には、誰よりもお世話になったと思っている。

あのとき・・・・友だちに戻ろうと言ったとき、もしモッサ君に背中を押してもらわなかったら。

あたしはきっと、登坂さんに告白する勇気は持てなかったと思う。


“自分を買いかぶっちゃダメ”

“突っ走れ、長澤!!”

モッサ君の言葉がなかったら、やっぱり今のあたしはないんだ。


『っていうか未来、私と長電話なんてしてていいわけ?』

「へっ?」


何をいきなり・・・・。


『もう日付変わっちゃったし、登坂さん帰ってるでしょ』

「そうだと思うけど・・・・何か?」


小百合の言おうとしていることが分からないあたしは、登坂さんの部屋のほうを見て首をかしげた。

すると、電話の向こうで盛大にため息をつく小百合。

左耳にボーボーと風のような息遣いが響いた。
 

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