俺のココ、あいてるけど。
 
─・・

──・・・

───・・・・



そうして朝を迎えた。

先に目が覚めたあたしは、しばらくの間、登坂さんの寝顔を見つめながら幸せに浸った。


キスのあとのことは、正直あんまり覚えていない。

記憶を呼び起こすように部屋を見渡してみると、テーブルに置いたままだったはずのお皿は流し台にあった。

その横には、あたしのタッパー。

どちらも洗ってあるみたい。


それを不思議に思っていると、横の登坂さんがモゾモゾ動く。

起こしちゃったかな?


「んー・・・・おはよ」


あ、起きた。

登坂さんの寝起きはハスキーボイスで、心臓がトクンと跳ねる。

でも、薄目を開けてあたしの顔を一瞬だけ見ると、また目を閉じて夢の中へ。


いい夢でも見ているのかな。

穏やかな寝顔がすごくかわいい。


早起きしたほうの特権だよね。

大好きな人の一番無防備な姿を誰にも見られず独占できる、って。


「おはよう、誠治さん」


寝ているのをいいことに、初めて下の名前で呼んでみた。
 

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