俺のココ、あいてるけど。
すると・・・・パチッ!
勢いよく目を開けた登坂さん。
「かなり感動ー。でも“さん”はいらなーい。はい、もう1回」
と、まるで先生みたいな口調で言って、力強い2本の腕であたしの体を引き寄せた。
とたんに顔が熱くなる。
狸寝入りの登坂さんにまんまとはめられて、猛烈に恥ずかしい気持ちが込み上げた。
「ほら、早く」
そんなあたしに絶対気づいているはずなのに、登坂さんは寝起きとは思えない強さでぎゅーぎゅーと抱きしめながらそう言う。
もっと紳士的な人だと思っていたのに、実際はそうでもない・・・・のかもしれない。
「早く呼んで」
「せ・・・・」
「そうそう、その調子」
「せ、せ・・・・」
「あともう一息」
「せ・・・・急かすなバカーっ!!」
ぽかっ。
名前を呼ぶ代わりに、バカと一緒に動けない体を駆使して頭突きを一発、お見舞いしてみる。
「起きてたんじゃないですかっ!もうっ!ひどいです!」
まだまだあたしは、彼を“誠治”と呼べるには時間がかかりそう。