俺のココ、あいてるけど。
そう言うとまたぎゅーぎゅーと抱きしめられ、少し伸びたひげでおでこをジョリジョリされた。
痛がるのは今度はあたし。
“痛い!痛い!”と身をよじって抵抗すると、見上げた先にはふふんと鼻を鳴らす誠治の顔。
「さっきのお返し。頭突きと、2回も“バカ”って言ったしな」
「あ・・・・」
そうだった。
焦ったり照れたり恥ずかしかったりで、無意識だったんだよね。
「でもいいよな、こういうの。照れた未来が見られるのは今のうちだけかもしれないし」
「そう、かな」
「ま、いつまでも照れられちゃ、こっちの身がもたないけど」
「あたしって、そんなに凶暴?」
「多少な」
またふふんと鼻を鳴らす誠治。
朝のまどろみの中で交わす会話は現実と夢の境目があやふやで。
まだ少し・・・・この両腕に守られているのが不思議に思う。
けれど。
「すねるなよ」
そう言って、いたわるようにおでこに唇を落としてくれる誠治はここにしかいなくて。
それに体が反応しちゃうあたしもここにしかいない。