俺のココ、あいてるけど。
 
ついには、俺の制止も虚しく道路にペタンと座り込んでしまった。

長澤って酔うとこうなるんだ・・・・でっかいガキじゃねぇかよ。


「ほら、後ろ」

「ふぁい?」

「歩けないんだろう? 乗れ」

「はぁい!」


このままじゃ帰る頃には朝になってしまうと思った俺は、仕方なく背中を向けた。

すると、長澤は嬉しそうに笑って俺に体を預ける。

仕事だと手のかからない真面目な奴なのに・・・・人って変わるもんなんだな。


そういえば、何かの弾みで“酒の席はあまり得意じゃない”と聞いたことがあった。

今にも寝そうな勢いの長澤を背負っていると、こうなるからか、と納得がいく。


「ったく。世話をかけるのはこれで最後にしてくれよ、長澤・・・・」


そう独り言をつぶやいて、ぽつぽつと灯る街灯の下を歩いた。





しばらくすると長澤はスースーと気持ちよさそうな寝息を立てはじめ、むにゃむにゃと寝言を言う。

“焼き鳥はもういい”とか“ビールはもう飲めない”とか・・・・。

さっきの歓迎会でのことだろう。
 

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