俺のココ、あいてるけど。
「バイバイ、恵介・・・・」
コーヒーを一気に飲み干すと、あたしは勢いよく席を立ってファミレスを出た。
この3月に大学を卒業したばかりのあたし・長澤未来は、今日、年下の恋人に振られました。
恵介は4月から4年生、あたしは社会人1年生。
やっぱり、どこかに気持ちや年齢のズレがあったんだと思う。
どうしても埋められない“差”が恵介とあたしの間にはいつもあったんだと思う。
「就職祝いのネックレス、もう付けててもしかたないよね・・・・」
明るい夜の空を見上げながら、恵介からもらったネックレスをそっと外した。
『必死にバイトして買ったんだ』なんて言って、照れくさそうに笑った恵介はどこにもいない。
首にかけてくれて『未来によく似合う』なんて褒めてくれた恵介はどこにもいない。
恋が1つ終わって、悲しいというよりは“すっきり”した気分。
あたしも悪いところはいっぱいあった。でも、恵介だって陰であたしを裏切っていた。
“お互い様”なんていうのは変かもしれないけど、本当にそんな気分だった。