俺のココ、あいてるけど。
 
だけど───・・。


「重い女なんて嫌・・・・」

「本気にさせないでよ・・・・」


今までむにゃむにゃだった寝言がこのときだけははっきりと、そして切なく耳に響いた。

“重い”・・・・。

“本気”・・・・。

長澤もそれなりに“恋”というものをしてきたのだろう。


でもそれは、言葉から察するに、いい恋ではなかったようだ。

本気だから気持ちが重くなる・・・・長澤はきっと、いつだって本気で恋をしてきたんだと思う。

なんとなくだけど分かるんだ、俺も同じような経験をしたから。


「長澤、お前は重くないよ・・・・」


いつの間にか、そんな言葉が口から飛び出していた。


「登坂さんって優しい人・・・・」

「そうか? つーか起きて・・・・」

「スースー・・・・」

「なんだ、寝言か」


驚かせやがって、とため息をついて、右肩に乗っている長澤の顔を覗いてみる。

・・・・人の気も知らずにのん気な顔して寝て。おめでたい奴。

でも、この穏やかな寝顔が不覚にも俺の顔を赤らめたんだ。
 

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