俺のココ、あいてるけど。
 
「あ〜、くそっ!気になって眠れやしねぇ──・・」


だけど、長澤が隣にいるというだけで布団に入っても目が冴える。

・・・・いや、この表現はおかしい。

玄関で寝ているんじゃないか、朝は起きれるんだろうか、と、そんな心配で眠れない。


壁時計の時刻は夜中の1時。

俺だってそろそろ寝ないとまずいってのに・・・・。


「はぁ〜・・・・」


何度もため息をついたり寝返りを打ったりして、早く眠くなるようにと願う俺。


「羊でも・・・・」


“数えるか”と言いかけて、慌ててあとの言葉を飲み込む。

ガキじゃあるまいし、子どもじみたことなんてできやしない。

もうすぐ25歳なのに、大の男が眠れないからって羊を数えるなんて恥ずかしすぎる。





そうしたまま時間だけが過ぎていき、結局、眠れたのは朝方4時。

久しぶりに“眠れない夜”を味わうことになった。


それでも、長澤の寝顔を思い出すとどこか心が温かく、優しい気持ちが胸に残った。

これもまた、久しぶりに味わう感覚だった───・・。
 

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