俺のココ、あいてるけど。
 
・・・・よかったぁ。


「よかっ・・・・いえ。なんでもないです。変なことを聞いてすみませんでした」

「いや、別に」

「昨日も今朝も本当にありがとうございました。登坂さんのおかげで命拾いです」

「あぁ、そう・・・・」

「はい!じゃあ、急ぎの仕事があるので失礼します!」

「・・・・」


そう言って、あたしは呆気にとられる登坂さんを置いて休憩室を後にした。


西向きに感謝、逆光に感謝!

バックヤードを歩きながら、心でお礼を言うあたし。

思わず「よかったぁ」と口が滑りそうになったけど、それでもまぁいっか、と楽天的に頭が働く。


あたしだって女子のはしくれだもの、男の人に下着を見られるのは抵抗がある。

ましてそれが職場の人となると、この先どんな顔をして仕事をしたらいいか分からない。

でも、幸いなことに逆光がそれを防いでくれて。

普段は“眩しい”と悪態をついてばかりだけど、このときばかりは愛しささえ感じた。


「本当よかったぁ」


そう言うと、あたしはほっと胸を撫で下ろした。
 

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