俺のココ、あいてるけど。
 
◆誠治side.*:・゚



「あぁ、逆光だったから見えなかったけど。なんだ?」


俺はとっさに嘘をついた。

起きれないんじゃないかと心配で、迷惑を承知で長澤の部屋を訪ねてから半日。

困ったような、恥ずかしいような顔で呼び止められた俺は、その顔でピンときた。

・・・・洗濯物。


───「よかっ・・・・いえ。なんでもないです」


なんでもなくないだろう、と、ほっとして本音を言いそうになった長澤に心で突っ込む。

長澤は、表情がコロコロ変わって本当におもしろい。

そういう奴は嫌いじゃない。





ちょっと考えれば分かること。

長澤は、朝玄関を開けたとき、朝日をもろに浴びて“眩しい”と声を上げた。

そっちが逆光。

俺は太陽を背にしていたから、逆光なんて関係なかった。

部屋の中・・・・見えたんだよな。


でも、呼び止められたときの表情や「見えなかった」と答えたときの心底安心した顔。

それに“本当のことを言わなくて正解だった”と思った。

・・・・長澤って天然だ。
 

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