俺のココ、あいてるけど。
登坂さんは怒った。
今までにこんな顔をした登坂さんは見たことがなくて。
怖くて目も合わせられなければ、言葉も出ない。
“最低”・・・・。
あたしにもそれはよく分かる。
1人で全部背負い込もうとして、誰にも頼ろうとしない。そんなんじゃ、そう言われたって仕方がない・・・・。
「あ・・・・怒鳴ったりしてすまなかった。何があったんだ? 俺はうまくやっていると思っていたが、実際の長澤はこの有様だ。話してくれるか?」
登坂さんはそう促す。
言ってもいいのかな・・・・彼女さんのこと、噂のこと。
それで登坂さんは傷つかない?
「どうした?」
「あの・・・・」
やっぱり言えない。
あんな最低な噂、登坂さん本人の耳には入れられない。
「はぁ・・・・。俺は長澤の指導係だったんだ、1ヶ月も一緒にいれば情が湧く。楽になれ、長澤」
そんな思いで唇を噛みしめるあたしに、登坂さんは1つため息をついて言う。
“楽になれ”と・・・・。
「登坂さん、あの───・・」