俺のココ、あいてるけど。
ピッ。
これはのんびり帰ってなんていられない、早く麻紀に───・・。
そう思って、電話を切ると俺は急いで車に走った。
俺・登坂誠治はスーパーの社員。
だけど、そうは言ってもただの社員ってわけじゃない。
大手スーパーチェーンの本社の人間で、今は立派なアドバイザーになるために地方の店舗で日々勉強中の身。
したがって、毎日の店舗の仕事のほかに、本社からの仕事もこなさなければならない。
閉店は9時だが、いろいろとしているうちにこんな時間になってしまうんだ。
恋人の麻紀とは大学からの仲で、地元就職を希望していた麻紀とは遠距離になるはずだった。
俺はまだ都会に残りたい気持ちもあって、東京での就職一本に絞っていたから。
だけど、いざ就職してみると俺の初任地は麻紀の地元。
麻紀の就職先も俺が働くことになったスーパーのすぐ近くだった。
本社での新人研修を終えた俺は、追いかけるようにして麻紀の部屋に転がり込んだ。
それが2年前の春。
今年が同棲を始めて3年目・・・・ということになる。