俺のココ、あいてるけど。
 
歓迎会のときといい、倒れたときといい、研修会のときも・・・・気になるのはいつも長澤だ。

指導係をしたからか、それともほかに別の理由があるのか。

吸い殻を片付ける長澤を見ながら無意識に煙草に手が伸びる。

すると・・・・。


「登坂さん、灰皿の掃除、終わりましたよ。今度は髪の毛焦がさないようにしてくださいね」


そう言って、今にも火をつけそうな俺を見て長澤はクスクス笑う。


「・・・・気をつける」

「はい!」


そうして、長澤は軽く会釈をして中に入っていった。


「さて。もう1本吸うかな」


ドアが完全に閉まったのを確認してそうつぶやく俺。でも、灰皿に目を移すと・・・・。


「磨くにも程ってもんがあるだろうが。鏡みてぇじゃん」


ピカピカに磨かれた灰皿。

こんなに綺麗に磨かれては、灰を落とすのにも気が引ける。










結局俺は、火をつける寸前だった煙草をケースにしまった。

・・・・やっぱり俺、どこか変だ。
 

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