夜にはココア朝にはミルクティを…



真菜と別れて教室に行く途中。

「新学期っていつも雨の気がするけど、珍しく晴れたな。」

窓の外を見ながら遼ちゃんが言う。

「真菜も同じこと言ってた。」

時々、二人は同じことを言うときがある。

遼ちゃん曰く
『感性が似てる…』
らしいけど、性格は全然似てねぇのに。


「遼!智也!おはよー。」

教室の後ろの席から大声で叫ぶ一人の人物。

白石陽太(17)


いつもつるんでる仲間の一人。

「春が珍しく落ちてるから励ましてやろうぜ!」

楽しげに笑う視線の先には机にうつ伏せ状態の


安西春(17)


コイツも仲間の一人だ。

「面白がってんじゃねぇよ!」

「面白がってるなんて、とんでもない。
落ち込んでる春くんを励まそうとしてるんじゃないか。」

いつもの様に掛け合いをしてる。

全然、落ち込んでないじゃん。

「どうせ二股とか浮気がバレたんだろ。」

ため息混じりに言う。
「そういうこと言うな!」

まるで聞きたくないとでも言うように耳を塞いだ。

図星って所だろ…。

コイツは男の俺でもカッコいいと思うけど
女グセがめちゃくちゃ悪い。
身体と心は別物だ。
と言うような男。

「どっかに可愛い子落ちてないかなぁ。」


こういうのがなければイイ男だと思う…。


「あっ!」

何かを思い出したかのように急に春が叫ぶ。
「真菜ちゃん紹介して!」

はぁ?!

「な、なんだよ急に。」

コイツなに言ってるんだよ!

「ほら、見ず知らずのヤツに渡さなくて済むし
俺ならお前も安心だろ。
それに色々と満足させてあげる保証つき!
よくね?」

「よくねぇよ!」

なに言ってるんだよ!
ってか色々満足ってなんだよ。

「お前に渡す方が不安だよ!
見ず知らずのヤツにも渡さないけどな。」

「出た!シスコン発言。」

楽しそうに陽太が言う。

そんなつもりは無いけど俺は相当シスコンらしい…。
真菜の話をするといつも突っ込まれる。



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