不思議な家のアリス
「恥ずかしい話、俺も今は落ち着いたけど昔はめちゃくちゃやっててさ。親父さんにはすげぇお世話になって…」
圭吾さんが話し出す。
どこか懐かしむ様に。
「俺ら皆家庭がちょっとゴタゴタしててさ。警察に世話んなる度、親代わりに迎え来てくれたな…。
頭下げんだ、赤の他人の俺らのために。何度も何度も…。こんなどうしよーもねぇ俺らの為に…。
"こんな事する奴じゃ無いんです"ってさ…。最初は"何分かった気になってんだよ"ってムカついてたな。
誤認逮捕されかけた時も、アイツだけは信じてくれた。
"こいつがやってねぇっつったらやってねぇんだ!"とか言って、お巡りの胸ぐら掴んで怒鳴った事もあったな…。それであいつが捕まりかけてんの。
ははっ、バカだべぇ?こんな俺らの為によ…。
卒業してからもさ、ちょくちょく家に弁当持って顔出して、"変わりは無いか"、"ちゃんとやってんのか"って聞いてくんだ。
普通ならちゃんとやってる訳ねぇって思うじゃん?
でも信じてんだよ…アイツ…。
親父さんは、俺らにとっても親みたいな存在だった」
…話の途中から、圭吾さんは泣いていた。
皆も、泣いていた。
私まで、何だか泣けてきちゃったよ。
…パパ?聞いてる?私、パパのこと誇りに思うよ。