不思議な家のアリス
賃貸だから何?
意味が分からずに、口を開けて眉を寄せ首を捻る。
「未成年のお前名義じゃ借りらんねんだよ。それに、家賃の事もあるだろ?」
未成年は家借りられないんだ…。知らなかった。
家賃…は当分は何とかなるはず。貯金も保険金もあるし。
でも借りられないんじゃ元も子も無いか…。
「生前、親父さんに頼まれてたんだ。"美波には俺の他に身寄りがないから、もし俺に何かあったら力になってやってくれ"って。
…まさかこんな事になるとは思って無かっただろうけどな…。」
圭吾さんが悲しげに微笑む。
確かに私はこの家を追い出されたら行く宛は無い。
住む所が無くなったら困るけど、初対面の圭吾さんと暮らすなんて出来るハズ無い…。
「まぁ今すぐ来いとは言わねぇから。
一応美波ちゃん用に一部屋開けとくから、困ったら連絡しな。ここからもそんなに離れてねぇから。」
そう言ってテーブルの上にあったチラシの裏に携帯の番号を書いてくれた。
「じゃあ、今日はこれで。おい、行くぞ」
皆立ち上がり、帰って行く。
私も玄関まで見送りに行き、一人で静まり返ったリビングに戻った。