不思議な家のアリス


5~6時間程経った所で、部屋には布団とテレビ、それから身の回りの物だけになった。



もの凄くガランとして、何だか寂しい感じ…。



パパとの思い出がぎっしり詰まったこの家も、明日にはお別れなんだ。

そう考えると、少し切なくなった。





「よし、じゃあ俺ら行くわ。荷物は開けない方が良いだろうから、部屋に適当に置いとくな。」

「はい。ありがとうございました。」





皆も帰っちゃって、布団とテレビしかない部屋に一人きり。

お仏壇も先に持ってってもらったから、話し相手も居ない。




ボーッと、この部屋でパパと過ごした日々を思い出した。





…あの柱の角に小指ぶつけて、パパ泣きながら痛がってたなぁ。

あそこに机があって、パパと一緒にご飯食べて…

小さい事で喧嘩したりもしたな。






…考えていたら、何だか涙が溢れてきた。


…三分だけ…泣こう。





誰も居ない、何もない部屋で一人咽び泣く。

思いっきり、泣きたいだけ。






やっぱり不思議と三分経った頃にはスッキリしていて、これからの事を考えた。


…圭吾さんと同居かぁ。私やってけるのかな。

何か緊張するな。明日から…あの人と暮らすんだ…。




「ふぁあ…。」




考えていたら眠くなってきて、布団に寝っ転がったら久しぶりにぐっすりと眠れた。


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