不思議な家のアリス
私の体が怒りと恥ずかしさの余り、ワナワナと震え始めた時、ハリーが私の手を引いた。
「最低だよな、アイツ。行こーぜ。」
…アンタもさっき笑ってたじゃない!!ゲラゲラと!!υ
軽蔑の眼差しを作って勇志に向けてはいるが、まだ口元が緩んでいる。
本当失礼な奴ら!
怒りの余りドスドスと音を立てて残りの階段を上ると、
今度は石鹸の良い匂いをさせ、頭をタオルでガシガシと乱暴に拭いている上半身裸の男の姿。
かろうじて下はスウェットを履いている。
「床、抜けちまうぞυ」
秋夜だった。
その出で立ちはどう見てもお風呂上がりのそれで。
…今時のヤンチャボーイ達は人様の家で昼間っから風呂に入るの?そんでもって上半身裸でウロチョロするの?
て言うか何でこの人達みんなちゃんと服着ないの?流行ってんの?
目を点にして秋夜を見ていると、「エッチー♪」と手を体の前でクロスさせた。言うまでもないが、とてつもなくウザイ。
こう言う奴はシカトするに限る。
ハリーに続き足を進め、ようやく一つの部屋にたどり着いた。
―カチャ…
「ここがチビ太の部屋。」
…………広っ!υ
与えられた部屋は、前の家のリビングより広かった。
壁紙が薄いピンクで、証明はシャンデリア。カーテンもアンティーク調で、すごく可愛い部屋。
入り口に段ボールが積まれ、マンションから運んだ家具がベストポジションに配置されている。
…こんな部屋使っちゃって良いの?!