不思議な家のアリス


私の体が怒りと恥ずかしさの余り、ワナワナと震え始めた時、ハリーが私の手を引いた。




「最低だよな、アイツ。行こーぜ。」



…アンタもさっき笑ってたじゃない!!ゲラゲラと!!υ

軽蔑の眼差しを作って勇志に向けてはいるが、まだ口元が緩んでいる。



本当失礼な奴ら!




怒りの余りドスドスと音を立てて残りの階段を上ると、
今度は石鹸の良い匂いをさせ、頭をタオルでガシガシと乱暴に拭いている上半身裸の男の姿。

かろうじて下はスウェットを履いている。




「床、抜けちまうぞυ」



秋夜だった。


その出で立ちはどう見てもお風呂上がりのそれで。


…今時のヤンチャボーイ達は人様の家で昼間っから風呂に入るの?そんでもって上半身裸でウロチョロするの?

て言うか何でこの人達みんなちゃんと服着ないの?流行ってんの?



目を点にして秋夜を見ていると、「エッチー♪」と手を体の前でクロスさせた。言うまでもないが、とてつもなくウザイ。



こう言う奴はシカトするに限る。


ハリーに続き足を進め、ようやく一つの部屋にたどり着いた。




―カチャ…




「ここがチビ太の部屋。」

…………広っ!υ


与えられた部屋は、前の家のリビングより広かった。


壁紙が薄いピンクで、証明はシャンデリア。カーテンもアンティーク調で、すごく可愛い部屋。


入り口に段ボールが積まれ、マンションから運んだ家具がベストポジションに配置されている。



…こんな部屋使っちゃって良いの?!


< 26 / 68 >

この作品をシェア

pagetop